旧端出場発電所導水路遺構群


愛媛県


その9

  

           2018年4月訪問


 第九水路橋。上から目線の撮影をしておりましたので追加します。
 底が抜けているとやはり厳しいですねえ。
 側面です。
 木樋はどんどん朽ちていくでしょうねえ…
  微妙に木樋が残っていたお陰で苦労した第
九水路橋の目と鼻の先…
 もうそこに次の隧道が控えておりました。
 第九隧道

 これまたしっかりした造り。
 丁寧に積み込まれておりますなあ。
 おおお、ここは長い…。七と八は短かったんで
すけどねえ。
 で、やっぱり素掘りです。
 巡視路で迂回するのもホネなので、やはり
手っ取り早い方法を選択してしまいます。
 ざかざか進みます。すると…
 おや?まだ吐口には全然近づいておりません
が、もう煉瓦アーチがでてきました。
 おお!凄い!
 この導水路では初めて見る高延長の煉瓦アー
チの覆工です。
 側壁と床面はコンクリート補修を受けていま
す。
 振り返り。
 素掘り区間はこのぐらいです。
 おおおおお…
 一回煉瓦覆工が始まったと思ったら、ずっと
煉瓦巻きが止まりません。
 どうやらこのまま最後まで煉瓦巻きでいってし
まいそうです。
 しかもいつの間にやら側壁の煉瓦が出てきて
おります。
 いいですね!久しぶりのオール煉瓦です。
 やはり煉瓦巻きのまま吐口までやってきまし
た。
 この隧道は一味違いますな…
 吐口から振り返り。
 水没面でしょうか。側壁部がえらい黒ずんで
います。
 第九隧道の吐口です。
 おお…笠石部に装飾があります。
 これは雁木という装飾ですね。
 やはりこの隧道は一味違う…
 
 その通りで、これが最終隧道となります。一番
発電所に近い隧道ということですね。
 ピラスターの外側は翼壁ということになります
ね。
 象徴的な隧道感がしっかり出ております。

 いい雰囲気です。周りの景色も何だか落ち着いてきて、ほっとします。
 最終隧道を過ぎましたが、まだ導水路は続い
ています。
 見上げると、石積みがずらっと見えます。
 なんでしょうね、あれ。
 上部軌道の関連でしょうか?
 それともこの水路の為の土留め??
 と、今までと雰囲気の違う構造物が出てきまし
た。
 奥のは横断橋ですね。
 手前に一段下がった槽があります。やっと出て
きましたね。これは沈砂池だと思われます。
 どうしても混在してしまう砂礫をここで沈殿さ
せ、一定量溜まったら通水を中断し、側面から
砂礫を排出させるための槽、だと私は理解して
おります。
 沈砂池の外側から。
 …なんだか側壁が破壊されているような気が
しますが…
 人為的な雰囲気です。なんで???
 左側には謎の真四角の切込みが。
 砂礫排出箇所がここだけだったんでしょうか。

 沈砂池と横断橋のハイブリッドスタイルの設備ですな!
 右側の沈砂池からの排水、左側の石積みは横断橋で沢水を排出。双方の水を一手に下部の槽に集めて沢に流すシステムになっております。
 なかなか見応えのある構造物です。
 下部の槽と沢への水路も、さらに下部の土台
によって守られていました。
 もともと平地でなかったところにこの構造物を
造ったみたいですね。

 ふと右手を見ると…おおお…
 いつの間にかコンクリ覆いがなくなった導水路の煉瓦側壁がずらっと見えております。これは圧巻です。
 基礎の石積みと相まってなかなかの雰囲気を醸し出しています。

 構造物の全体像です。いやあ、この機能美は見ていて飽きません。
 再度、水路に戻ります。
 
 
カゲヤ谷横断橋
(第八横断橋)


 複合構造物となっている横断橋の内部を確認
してみましょう。
 3層の欠円アーチです。
 この横断橋もやや曲がっております。
 いつでも現役で使えそうな雰囲気です。
 振り返り。
 すぐ沈砂池です。
 吐口側です。
 向こうにコンクリアーチが見えています。
 吐口側から。
 良いラインですねえ。
 吐口側の坑門です。
 ちゃんと巡視階段付きです。
 ずっと眺めていたい一品。
 いい仕事してますなあ。
 いい加減進みます。

 第八横断橋から見えていたコンクリアーチ。
 …うーむ、これをどう判断するか…
 上部です。
 分かりにくいですが、この導水路特有の越流
工縁の階段が見て取れます。
 よってこれを、

 
第九横断橋

 と致します。
 横断橋としての構造に加えて、謎の桝が乗っ
かってます。壊れているようで、何の目的で造ら
れたのかは分かりません。
 吐口側です。
 内部です。
 側壁部分は第八横断橋とほぼ同じです。
 アーチぶだけコンクリ…
 増設なのか、煉瓦アーチを改修したものかは
ちょっと判断付きかねますねえ。
 もうそろそろゴールでもいいんですがね…
 お腹一杯…

 ところがまだ出てきます、構造物!
 凄いな…
 いやあ、ありますねえ~

 
第十横断橋

 マメですなあ。
 おおお、結構な延長があります。
 この辺りは小さな沢からの流入が多いので
しょうか。
 導水路の一段下にもコンクリ水路が平行して
あるようです。
 あれは何でしょう?
 第十横断橋の上には瓦礫が満載です。
 しっかり役割を果たしているようです。
 第十横断橋の吐口です。
 その先に…まだあるよ~(;´∀`)
 吐口坑門です。
 何か奥の様子が???
 おお!
 なんとアーチの形状が異なります。
 どっちも欠円は欠円みたいですが、ライズ比が
異なるようです。
 吐口側の方が延長された部分でしょうか。
 延長部の煉瓦アーチ坑門に面白いモノが。
 小口積みの煉瓦アーチですが、一ヶ所だけ
長手が挟まってます。
 アーチ環に収まっていれば竪積みですが、こ
れは飛び出しています。
 しかもこの一個だけ、対となる反対側にはあり
ません。

 ナニコレ???
 謎を残したまま前進。
 すぐに次の横断橋が。
 第十一横断橋

 ここにきて横断橋ラッシュです。
 安定と信頼の洞内です(笑)
 しっかり横断橋の役割を果たしていますね。
 吐口付近には大きな落石が。
 しっかり受け止めています。
 吐口の坑門です。
 やはりちょっと落石が大きかったみたいです
ね。
 中央部に亀裂が入っています。
 しかし内部にまでは被害は及んでおりません。
 先に進みます。
 導水路に迫り出した岩盤が剥離して、水路内
に落ちてますね。
 その先にはまたまたあの物件が。
 いやあ、ありますねえ。

 
第十二横断橋

 これは比較的短い横断橋です。
 背の高い欠円アーチですな。
 お陰で抜けやすいです。
 いやあ、横断橋だけでも12本目です。
 建造の苦労が偲ばれます。
 こじんまりとしていい感じです。
 結構薄いですよね。
 場所によって使い分けをしているみたいです
ね。
 さあ!ようやく導水路のフィナーレが近づいて
参りました!
 結論から、構造物は以上になります。
 いやあ、長かった…

 纏めますと、
 ・
隧道9本(全て煉瓦アーチ+素掘り)
 ・
水路橋9本(うちワーレントラス3本)
 ・
橋梁3本(煉瓦欠円アーチ)
 ・
横断橋12本(うち煉瓦アーチ10本)
 ・
沈砂池1ヶ所

 以上のような状況でした。
 いやあ、事前に把握していたとはいえ、想像
以上の濃厚な導水路でした。
 只今の時刻12時50分。
 採鉱本部跡からの探索開始は7時30分
 ここまで来るのに5時間20分もかけています。
 いやあ、疲れた!
 とうの昔にお腹一杯です。
  
 まあ、後は上部水槽をチェックして、水圧鉄管
横の巡視階段を下るだけや!
 …と、楽観していたのですが…本当の苦難は
ここからなのでした…ちーん…

 以降、 
最終回その10 に続く!