奥羽本線庭坂~関根間現役暗渠、廃線構造物群


奥羽本線(山形新幹線) 福島県庭坂駅~山形県関根駅間



その4

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                  2018年8月訪問

 第一赤岩トンネル(初代7号トンネル)東側坑口
より。
 法面が崩れ、木が生え、シダが生育すること
によって路盤が消失し、自然の地形に戻ってし
まっている感じですね。
 取り敢えず真っ直ぐ進みます。
 程なくして。
 無事に次のトンネルが見えてきました。
 やはり鉄道路線。道筋に大きな動きはありま
せん。

 第二松川トンネル(初代6号トンネル) 西側坑口

 巻厚5層。ピラスターのないシンプルな構造です。既に対岸が見えており、通して無事なご様子です。
 いやあ、何度見ても精緻な積み方です。
 100年以上風雨風雪に耐える煉瓦積み、本当
に素晴らしいです。
 内部です。
 落ち着いた洞内ですね。煤と白化でいい雰囲
気です。
 振り返り。
 いつも思いますが、廃れさせるのは本当に
勿体ないですねえ。
 再利用、観光地化はほんの僅かです。
 鮮やかな煉瓦の色を残す退避所。
 2つ目の退避所。
 100m程の延長であれば、待避所は2ヶ所ぐら
いですかね。
 ここだけ少し崩れてしまっています。
 …うーむ…
 あの部分だけ詰めた石が露出している模様
です。
 局所的に圧がかかっているんでしょうか。
 そうこうしているうちに東口に到着します。
 お外は平和そうですが…
 振り返り。
 ここも一直線ではなく、やや左に曲がっていま
す。

 第二松川トンネル(初代6号トンネル) 東側坑口

 やはり福島県側が起点で、そちら側になる東側坑口の方が立派な気がします。
 立派な冠木門タイプの総煉瓦造りです。
 しかし、ここには「6」のエンブレムがありませんね。

 深緑に映える煉瓦トンネル。見事な廃景ですなあ。
 これだからこの探索はやめられません。
 さてここからです。ここからが本当に厳しい戦
いになることが分かっておりますが…
 ちょっと見失いました。

 確かここから初代奥羽本線は松川を越えるは
ずなんですが、遺構が見つかりません。

 少しばかり彷徨っていると…

 あ!何か見える! 
 ちょっと行き過ぎていたようで、戻って来ると
煉瓦造りの巨大な橋脚が見えてきました!

 断崖に聳える巨大な構造物。あれを明治期に
造ったというんですか…
 まずは橋台から。
 ここから松川の上空に飛び出すわけです。
 しかし、ここから川床まではもの凄い高低差で
す。こんな上空に橋を架けようとしたのが凄い…
 橋台の側面に廻ります。
 下方に橋脚が見えます。

 そして!この橋台には超意外な構造が…

 まさかのアーチ構造!ただの橋台かと思いきや、まさかのアーチ!
 そう、この松川橋梁は鉄橋と煉瓦アーチ橋梁の複合型の橋梁だった模様です。
 ネットで拝見できる松川橋梁の構造は、庭坂側から、煉瓦アーチ1径間、上路平行弦プラットトラス(推測)、煉瓦アーチ2径間という大物。
 これは2径間アーチの赤岩側のものですな。
 4層までは確認できます。
 うーん、なぜ上部は消え去ってしまったので
しょうか。自然災害ではなく、人為的に削り取っ
てしまった感じがしますが…
 しかし少しでもアーチ部分が残っていて良かっ
たです。
 反対側から。
 うーむ、絶妙な残り具合です。
 下方から見上げます。
 線路敷きはあの煉瓦構造物の頭頂部を通って
おりました。
 ここから空に飛び立つわけです(笑)
 振り返って見下ろし。
 2径間アーチの庭坂側の橋脚です。
 
 私が立っているところに真ん中の橋脚があり
ます。
 真ん中はこの高さしか残っておりません。
 これが橋脚下部の基礎で、上部に煉瓦アーチ
が乗っかっていたと思われます。
 2連アーチ庭坂川の橋脚の足元です。
 損傷が著しいですな。
 見上げてもその損傷ぶりが際立ちます。
 この樹木には支えられているのか、押し出され
ているのか…
 側面…。こりゃあ酷い…
 煉瓦の壁が薄く剥離して、散乱しています。
 根元から見上げます。
 こうしてみるとさらにでかい!
 そのバベルの塔は側面から崩壊しつつありま
す。
 この上にさらに煉瓦アーチが乗っていたとは…
時代が時代だけにそれは途方もない作業だった
ことでしょう。
 その橋脚の下にさらに巨大な石積みが。
 これこそ橋脚の基礎となります。
 地形に合わせて設計されたんでしょうが、調査
測量時点でどのようにしてこの形をイメージした
んでしょうか。
 本当に恐れ入ります。
 川床に降り立ちました…。
 こちら側は比較的降りやすかったですが、それ
でも傾斜は結構ありました。昇降には油断なり
ません。

 そして…対岸に目をやると…

 断崖絶壁の上に聳える巨大な構造物…
 こ…これは美しい…
 見惚れると同時に、これ、どうやって登るの???という疑問が…こんなんクライミングの範疇やないか~
 ヨッキさんはどっから登ったんだ?

 次回、この難攻不落の要塞を攻め落としにかかります。

 以降、 
その5 に続く!

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